Homeコラム > Circuit 07 -26
コラム「Circuit 07」青池憲司

第26回 ハルハ紀行日録(2)/北京まで
2007.8.15
写真1 天安門広場
▲写真1 天安門広場

 7月26日。羽田。わたしとつれあい、吉郎くん(前回登場したKくん、12歳、中1)の同行3人は、07時30分発AN141便で大阪へ。関西空港でNH159便に乗り継いで北京へ向かう。待ち時間の間に神戸の森末哲朗さん(学童保育所どんぐりクラブの畑担当)と野田北部の林博司さん(野田北ふるさとネット本部長)に電話をする。別段の用事はないのだが、「かえりに寄るからよろしく。アルヒ(モンゴルの地酒)を買ってくるので一杯やろう」。北京へのNH159便の機内で映画『ニッポン無責任時代』(東宝1962年)を観る。公開時以来二見三見した作品だが、古澤憲吾(監督)、田波靖男・松木ひろし(シナリオ)、植木等およびハナ肇とクレージー・キャッツ(出演)の、あの時代を照射した映画センスに今回もうなった。お見事。北京首都空港に12時18分着。ここからさらに乗り継いでウランバートルへと向かうのだが、乗り継ぎ便の出発時間が21時10分なので、その間を利用していったん中国へ入国し北京のまちを見ることにする。

 わたしは、中国へは2度目の入国だが北京首都空港を利用するのも、北京市内を訪れるのもはじめて。空港はすばらしく装備が整っていて、入国手続きもきわめてスムーズ、人も技術も第一級と記して初回の印象とする。空港バスで西單行きを選んで乗る。めざすは天安門。バスが空港をでて高速道路へ入るとそこここに建設工事や道路工事の現場が見える。来年のオリンピックに向けての都市改造突貫工事である。いたるところでの破壊と建設。この光景を、わたしは過去に2度目撃している。最初はTOKYO OLYMPICまえの東京で、次はSEOUL OLYMPICまえのソウルで。BEIJING OLYMPICまえの北京の様子はいまちらりと見ているだけだが、これで、北京が、かつての東京やソウルとおなじように、さらに西洋モデルのグローバル化が進むことは容易に予測がつく。バスは長安街へ入り、車窓から天安門が右手に、人民大会堂が左手に見え、通りすぎると終点の西單バスセンターである。所要時間70分、料金16元であった。

写真2 天安門
▲写真2 天安門

 西單バスセンターからもどる方向に歩いて天安門へ。歩きはじめて直覚するのは空気の悪さである。車の排気ガスと工事の粉塵が混じり合って、まち全体にもやのように立ちこめている。スモッグにすっぽりと覆われた空の下では、天安門広場(写真1)の五星紅旗(中国の国旗)も、その背後の人民英雄紀念碑も、そのおくの毛主席紀念堂も、かすんでしまっていささか光輝を失って見える。それはさておき(さておかれない環境問題だが)、われら3人、天安門(写真2)をくぐってちょっとだけ中へ。夏休みとあって、児童生徒の団体や親子ずれ、地方からの観光客があふれている。わたしたちもお上りさんとなって、きょろきょろガヤガヤ、中国庶民と肩を接して行く。アイスクリーム売りやミネラル・ウオーター売りや絵葉書売りがいて、なにやらショバ争いをしているような様子も見える。故宮博物館まで行きつかず途中でUターンして天安門外へ。長安街を王府井方向へ歩く。左手に北京飯店を見るとそこが王府井大街の入口。

写真3 正面が東来順王府井飯荘
▲写真3 正面が東来順王府井飯荘

 王府井大街へ入ってすぐの右側に、羊肉しゃぶしゃぶの老舗「東来順」王府井飯荘がある(写真3)。わたしは日頃から羊肉が大好きで、しかもしゃぶしゃぶにして食するのがいちばんと心得ている。北京経由の旅程が決まったとき、まっさきに浮かんだのは、東来順に寄って羊肉しゃぶしゃぶを食べることだった。料理本にはよく、羊肉にはクセがあってなどと書かれているが、そのクセがいいのである。日本の食材は肉類にしても野菜類にしても全般的にそのクセ、いわば個性が残念なことに必要以上に削がれてしまっている。わが食卓の羊肉しゃぶしゃぶのタレは腐乳をたっぷりつかったものでルーツは北京にある。腐乳もまた独特の臭味があって、わが食卓では、これに、胡麻油や辣油、ニンニク、薬味などを足しこんでタレとする。以前、つれあいが北京での体験をもとにアレンジしたもので、なかなか食わせると我画我賛している。わたしには本場での体験がないので、ぜひオリジナルを食べてみたい、その宿願がかなったのである。

 北京羊肉しゃぶしゃぶ初体験、堪能した。堪能のひとことに尽きる。わたしとつれあいは満足したが、同行の吉郎くんは? 彼も大満足でよく食べた。なにしろ、旅へでるまえに2回、ずっと以前に1回顔を合わせただけの付き合いなので、食べものの好き嫌いなど知るよしもない。吉郎くんは羊肉を食べられるだろうか・・・・とは、じつはつゆも心配しなかった。自分たちの食べたい思いのほうが先に立っていたのだ。店に入り卓につき注文してビールを一口飲んで、そうか、吉郎、ヒツジは大丈夫かな? と思いがやっとそこにいたったのだ。でも、そんな心配はすぐにふきとんだ。彼はヒツジを食べる食べる、これはたのもしい。長旅の同行者と食の嗜好が合わないとやっかいなことになりかねない。まずは一安心。北京の昼食を終え、地鉄(地下鉄)に乗る。王府井駅から西單駅まで2区間。西單バスセンターから空港バスで北京首都空港へもどる。出国手続きをすませ、あとはウランバートル行きのモンゴル航空(MIAT)のフライトを待つばかり。





関連本ストア: ハルハ紀行ーモンゴル、ノモンハンを旅する

(c)2003-2013 The Group of Recording Noda Northern District. All Rights Reserved.
inserted by FC2 system