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コラム「Circuit 07」青池憲司

第20回 鷹取での2日間(5)
2007.6.27
たかとり完成パーティー
▲たかとり完成パーティー

 5月27日、鷹取滞在の2日目。二日酔いではないが、酒が充分五臓六腑に残っている。昨夜、野田北ゲストハウスにかえりついたのは02時をまわっていた。バタンキュウだったものの、夜明けごろに目が覚めてまた眠って、しっかり覚醒したのが10時過ぎ。しまった、たかとり教会のミサに間に合わない。わたしはクリスチャンではないが、ひさしぶりにかんちゃん(神田裕神父)の説教を聴きたかった。震災後の足かけ5年の野田北部滞在中はよく日曜礼拝に出席した。わたしたち青池組のスタッフルーム兼宿舎(この建屋はコラム第16回で紹介した堤さんの家族が住んでいて、地震で半壊後改造したものである)は教会敷地のなか、日曜日には聖堂としてつかわれるペーパードームの真向かいにあったから、あらためて出席するというほどのことでもない。ミサの進行は手に取るように見聞できる。わたしは、かんちゃんの説教がはじまるころを見計らってドームへ顔をいや耳をぐいとつきだした。今週のかんちゃんは何を話すだろうか。説教に宗教的なテーマがでてくるのは当然だが、それを上回って、コミュニティ復興への思いが語られて、わたしは共感することが多かった。

 ゲストハウスから教会へ徒歩2分、酒漬かりの頭と身体を運ぶ。礼拝はすでに終っていて、かつて、ボランティアできていた“とうこ”が「ミサをさぼったね」と声をかけてくる。おいらは信者じゃねえよ。とはいうものの、かんちゃんの説教を聴けなかったのは残念である。ひさしぶりなだけではなく、じつは、かんちゃんの、たかとり教会での主任司祭としての務めはきょうがさいごなのである。勤務地が大阪の大司教区に移る。しかし、鷹取の地とかんちゃんの縁が切れてしまうことはない。かんちゃんは、たかとりコミュニティセンターの代表であるし、地域の人にとっては、頭のてっぺんから爪先までまるごと以前とおなじかんちゃんであることに変わりはない。震災後はじめてかんちゃんの説教を聴いたのは、焼跡と瓦礫のなかでのミサであった。そのときのことばがいまも忘れられない。「震災で教会が燃えてしまって、はじめて教会になったように思います。みなさんが扶け合う生き生きした姿を見て、教会は建物ではない、人の集りそのものだと思いました」。これは、わたしたちが撮った被災地の記録のもっとも初期の映像として、短篇『阪神大震災 鷹取教会からのビデオレター』に収めてある。

 それにしても、かんちゃん、深更までいっしょに呑んでいたのに、けさは早起きしてちゃんと神田神父に変身したんだね。それでこそ立派な酒呑みというものです。さて、きょうは、たかとりコミュニティセンター(TCC)のリニューアル開所式ともいえる、「たかとり完成パーティー 〜きのう、今日、そして、未来へ〜」が行なわれる(写真)。きのうは教会の信者さんが多かったが、きょうはTCCを構成している7団体のスタッフと関係者、地域の人たちが中庭をうめている。夏祭りと暮の餅つき大会がいっしょにきたような雰囲気である。午前11時、信州・南木曽の人たちからの祝い酒(四斗樽)の鏡割りで、「祭」はスタートした。わたしも乾杯用に升でひとくち。きょうも長い一日になりそうだ。




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