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コラム「Circuit 07」青池憲司

第21回 鷹取での2日間(6)
2007.7.1
▲写真1 高木良行さんの作品『復活の森』

 「たかとり完成パーティー 〜きのう、今日、そして、未来へ〜」。南木曽の樽酒での乾杯のあと、「祭」はいきなり渦中となり多彩な歌舞音曲が繰り広げられた。主催者挨拶はかんちゃん(神田裕・たかとりコミュニティセンター代表)が「地域のみなさん、ただいまぁ」と簡潔明瞭。来賓とかえらいさんとかの祝辞など余計なものがないのがいい。芸能(日・越・韓)、酒(日・韓・中)、料理(日・韓・中・比・越・タイ・インドネシア・ペルー・ブラジル・エジプト)、お喋り(日・韓・中・越・葡)、すべてがわぃわぃがやがや多文化である。これが鷹取的であるといえる。この日も、ずいぶんたくさん旧知の人たちと出会った。そのうちの幾人かを紹介させていただく。

 地域活動の多才な仕事人であり、FMわぃわぃの番組スタッフであり、当Webサイトの巻頭を飾る絵画シリーズの作者である高木良行さんとおくさんの邦子さん。高木さんの新作『復活の森』が、建物中庭を巡る回廊の一角に掛けられてあった(写真1)。絵のなかからよろこびがゆっくりと湧きだしてきて、見る者の体内にじわりと染み込んでくるような作品である。

▲写真2 福田道夫さんと美智子さん

 野田北部まちづくり協議会の元副会長で、ボランティアから“校長”の愛称で親しまれた福田道夫さんとおくさんの美智子さん(写真2)。福田さんは、でっかいどん柄(体躯)と磊落さで、浅山三郎会長の右腕として、まちづくり協議会の扇の要のような存在であった。ご存知せっちゃん(河合節二さん)とは口敵(くちかたき)。ふたりのしゃべくり合戦を肴にして呑んだ夜々もあった。

▲写真3 鈴木道子さん

 震災直後から鷹取救援基地の事務方の中心的存在であった信者の鈴木道子さん(写真3)。ボランテイアの応対など諸事万端、基地内で彼女が果たした役割は大きい。
 写真を撮りわすれたが、ご存知せっちゃんと競馬の俊ちゃん(故・河合俊造さん)のおかあさん(河合淑子さん)。彼女からは、わたし個人のみならず、野田北部を記録する会への支援もいただいた。
 ――きょう、ここにお集りの地域のみなさんは、わたしにとって馴染みの顔ばかりだが、震災後12年ともなれば、ひさしぶりの方も多かった。

▲写真4 森末哲朗さん(中央)

 地域外の人、わたしの仕事関係の人たちとも顔を合わせた。灘区にある六甲学童保育所・どんぐりクラブの元指導員の森末哲朗さん(写真4)。彼とは、映画『ベンポスタ・子ども共和国』(幻燈社製作)の公開時(1990年)からの付き合いである。どんぐりクラブは震災で全壊したが、1年以上をかけて再建し現在もつづいている。わたしは、森末さんの子どもとのつきあい方がとても気にいっていて、どんぐりクラブの1学期をNHKの教育チャンネルでドキュメンタリー番組にした(『群れの中で子どもは育つ』98年9月放映)。森末さんには『放課後泥棒』(雲母書房刊2001年)というチャーミングな子ども論、ユニークなおとな論の著作がある。ぜひご一読ください。  

▲写真5 西條遊児さん

 ラジオとテレビのパーソナリティで、FMわぃわぃでもひところ復興支援番組をもっていた西條遊児さん。きょうのパーティの司会者でもある(写真5)。遊児さんとのお付き合いもはじまりは『ベンポスタ・子ども共和国』である。映画の大阪上映のときに、そのパブリシティで、ラジオ関西の、遊児さんと弟の笑児さんコンビの人気番組『スタジオTODAY・ホットに語ろう』に招んでもらい、話の引きだしかたの見事さに舌を巻いた。震災後の鷹取救援基地で再会し、そのご、FMわぃわぃ関連の仕事をごいっしょしたことがある。
 
 ベンポスタ繋がりでもうひとりあげれば、神戸新聞記者の宮沢之祐さんがいる。震災後の野田北部・鷹取で撮影をはじめてまもなく、「監督、おぼえてますか」と訪ねてきた大男が宮沢さんだった。わたしはもちろん覚えていて、それは、映画をきっかけに実現した「ベンポスタ・サーカス日本公演」の神戸公演(93年夏、ワールド記念ホール)に同行したわたしが彼の取材を受けていたからだ。神戸新聞の震災報道は、その取材力と紙面構成力、メッセージ力の強靭さで群を抜いていて、そのスタッフのひとりに宮沢さんがいたのだ。震災から5年ほど、神戸新聞はわたしの熟読紙のひとつだった。
 
 ベンポスタ繋がりといえば、そもそも、かんちゃんとの出会いが映画『ベンポスタ・子ども共和国』でありサーカスだった。そして、かんちゃんをふくむ地域の人たち(自治会、婦人会、こども会、商店街)が開いてくれた、大国公園での「盆おどり交流会」が、わたしと野田北部・鷹取のみなさんとの最初の出会いであった。ゆかた姿の地元の人たちとジーパンTシャツ姿のベンポスタの若者たちが河内音頭やサルサを踊る情景は、まこと、夏の夜の異文化交流であった。



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