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青池憲司コラム眼の記憶10

第8回 夏がきた
2010.7.3

前回のコラムで、「『あ、春がきた』という思いの日々がつづいている」などと書いたのは3月9日ですから、ほぼ4か月ぶりの登板です。したがって、見出しはあっというまに標題のごとくになります。なんともはや。その間、東奔西走というと聞こえはいいのですが、東へおもむけば西のことが疎かになり、西へはしれば東のことを忘れがち…といった塩梅で、すなわちこれ"アラセブ"(around seventy)なることの証か。いやはや、はや夏はきぬ、です。

このところ、HousekeepingとOKUBO地回りが、わたしの主な生活時間ですが、それでも、ときには作品づくりをしていて、9月にNHK教育チャンネルでのOn Airが1本予定されています。その予告めいたことをすこし書きます。いまさら、ことあらためて、わたしがいうこともないのですが、世界各地で地震が頻発し、国内でも首都直下、東海、東南海などの大地震、とくに首都直下型はこの30年のうちに(といわれてから数年経ったからすでに30年を切った)6〜7割の確率で発生するといわれています。それが阪神大震災の約10倍の被害をもたらすことも想定されています。防災対策はもとより重要ですが、数十秒の揺れのあとにつづく長い復興期をわたしたちはいかに生きるのか? その対応もまた必要です。

阪神大震災は、計画的な復興の進め方を事前に用意しておくことの重要さを明らかにしました。首都圏のいくつかの地区では、直下地震を見据えて「協働復興模擬訓練」がはじまっています。この耳慣れない訓練は、災害があってからうごきだすより、事前に地域でやれることをやっておこう、という趣旨です。東京都では、『震災復興マニュアル』を策定し、それにもとづき、地域住民が専門家や行政の協力をえて「協働復興模擬訓練」を行っています。はじめは、「災害のまえになんで復興訓練なんかやるの?」と戸惑っていた住民さんも、終了後には、その意義と重要さを感じとっているようです。

模擬訓練の概要は、「まちあるき・ガリバーマップづくり」(自分の地域を歩き、被災時に問題となる場所や資源となるモノの確認などをし、その結果を大きな住宅地図に書き込んでまちの状況を共有する)、「復興体験めくりめくりゲーム」(わがまちわが家が被災したと仮定し、参加者はロールプレーで自分の生活と地域の再建過程を体験する)、「復興アイディア旗差しゲーム」(地域が復興していく過程で起きる問題にたいして、アイディアを出し合って検討し、いまからできることを考える)などです。そこで浮かび上がってきた問題や課題や疑問を、阪神大震災の住民復興活動に学び、きたるべき災害に備える「コミュニティづくり」をしようとする人びとを取材しました。

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