Homeコラム > 眼の記憶10-7
青池憲司コラム眼の記憶10

第7回 春三景
2010.3.9

 ここ数日、「あ、春がきた」という思いの日々がつづいている。

 仕事仲間の娘さん(大学生)の就職が年度末ギリギリで決まった。彼女は、この最悪の不況のなか、自分の望む職種にさいごまでこだわりつづけ、いくつもの挫折をのりこえ、妥協せずに獲得した職場である。おめでとう。春がきた。

 在日ビルマ人のソウセイが都立高校に合格した。彼女のことは以前のコラム「Circuit 06」の第5回「隣人ソウソウミン母娘」に書いているので、ご一読いただければさいわいである。そのソウセイが、これも自分の第一志望の高校に進学を決めた。小学生の時期にたいへんな経験をしたが、めげずにあかるく中学生活をおくり、周囲の励ましに応えて獲得した入学である。おめでとう。春がきた。過日、そのお祝いの会が早稲田鶴巻町の「風まちサロン」で開かれた。当時、ソウセイと母親のソウソウミンを支えて活動した面々も集って、よろこびをともにし、ソウソウミンの手になるビルマ料理をたのしんだ。

 KOBEの野田北部まちづくり協議会からいかなごの「くぎ煮」が届いた。毎年この時期に送っていただくので、このコラムにも例年のごとく登場する春の味である。くぎ煮に使われるいかなご(関東では小女子=こうなご)漁の解禁は2月下旬から3月上旬。毎年、兵庫県立水産技術センターが試験引きを行い、稚魚の成育などの調査結果をもとに解禁日が決められるのだという。くぎ煮はなによりもいかなごの鮮度が重要で、神戸市の垂水港や明石港では朝早く出漁して昼過ぎには店頭に魚が並ぶ昼網があり、新鮮ないかなごをもとめて人びとがならぶ。ことしはすこぶる豊漁で、われらのせっちゃん(おなじみ、河合節二・野田北ふるさとネット事務局長)も半端じゃない量のくぎ煮を炊いたという。よかった。

(c)2003-2013 The Group of Recording Noda Northern District. All Rights Reserved.
inserted by FC2 system