Homeコラム > 眼の記憶11-10
青池憲司コラム眼の記憶10

第10回 震災小片雑記・六(110405)
2011.4.6

 知人や活動仲間からわたしのところへ寄せられた、東日本大震災関連の便りを、(勝手ながら)みなさんにも読んでいただきたい、また、記録にとどめておきたい、というきもちで、発信者の諒解をえて転載します。

【小片12】

 3月27日、都内に住む知人からのEメール(抜粋)。知人は非正規労働者です。

◯「今こそ日本が変わるときだと思います。人々が助け合い寄り添う、相互扶助の大切さを見直し、お金ではなく人間を大事にし、格差をなくし平等な世の中を作れる好機ではないかと思います。(好機というのは良くないかもしれませんが)」

「テレビでは、『がんばろう! 日本』とか『ひとつになろう! 日本』とかいってますが、私たちは、『変わろう! 日本』を合言葉に何かしていくべきだと考えています。どうかこの言葉を広めていきましょう。反原発運動や格差に取り組む人たち、労働組合など、さまざまな団体が一緒になって、『変わろう! 日本』を掛け声に一緒になって、新しい日本を作りたいと思ってます。」

●返信。「同感です。阪神大震災のとき、野田北部の人たち(神戸市長田区)は、『この震災が百年に一度の災害なら、それは、住民自身がまちづくりをする百年に一度のチャンスでもある』とことあげして復興に乗りだしました。阪神大震災と東日本大震災とを軽々に結ぶことはできませんが、わたしたちは、自分のできることで被災者と連帯し、現在の困難を打開しつつ、新たな「時代」を模索していきたいと思います。」

【小片13】

 3月30日、都内に住む知人からのEメール(抜粋)。知人は印刷労働者です。

◯「『節電』を理由に住民(市民)・労働者の自主的な活動を事実上禁止する動きが、足立区を発端に荒川区・墨田区と広がっています。足立区では3月の地震以降に区の地域学習センター(生涯学習課管轄)が使用禁止になりました。そして、本日、4月以降は土曜・日曜・国民の祝祭日の午後1時〜午後5時までの使用を除いて平日も含めて全面的に使用禁止になることになりました(状況をみて4月末に再度検討)。」

「これから電力需要は収まる時期であり、東電の情報公開には疑問がありにわかに『電力不足』も信用できず、電力供給=原発容認の意識づくりと無縁ではないと言い切れません。」

「そして私達は、なによりも区が本来優先すべき民主主義の根幹である市民・労働者の自主的な活動(自治)を一方的に禁止することを許すことができません。それは憲法に規定されている集会の自由等の人権侵害ですが、私達が主権者であることを否定する行為です。」

「荒川区では4月から午後7時以降の夜間使用が禁止(6ヶ月間)となることが判明し、平和憲法を守る荒川の会、荒川区職などが緊急の申し入れを行い、また荒川地域の様々な団体に呼びかけて禁止撤回の取り組みが進められています。墨田区も公共施設の夜間使用が禁止されています。」

「国家的危機、社会不安の際には住民は家に閉じこもれと言うのは権力者の常。この間、こうした公共施設に関して、不特定多数の者に呼びかける企画には施設を利用させないという動きが各区で広がっていました。荒川区への緊急の申し入れに対して、区の対応は『なぜこれに協力できないの!』とまるで『非国民』扱いだったようです。こうしたことが広がれば、あらゆる市民運動や労働運動が影響をうけ、自主的な被災者への支援活動も影響をうけます。これから、こうした動きに歯止めをかけていきたいと思います。」

●返信。「このメールの趣旨に共感します。東日本大震災は、いうまでもなく大変な事態ですが、それを暗黙の諒解として、社会の懸案事項がことごとく後景へ押しやられ、あたりまえのごとく先送りされていく風潮も問題だと思います。日常生活を災害の名のもとに規制していく首都圏行政機関の対応はさらに問題です。新宿区のふだんのコミュニティ活動の場も大幅に制限されています。こんなときだからこそ公共の施設を広く開いて、市民が集って、復興支援のこと、原子力発電のことなどを語り合う『場』とすべきです。いや、もともと、市民センターや地域センターは、住民が自主運営している(はずの)施設です(地域によってちがうかな)。それが、市や区行政の一方的な通達で閉じられてしまうことに疑問をもちます。こんどの震災で直接の被害はなかった、すくなかったとはいえ、首都圏に生活するわたしたちも、やはり非日常のなかにあります。被災地の非常事態とはくらべものになりませんが、被災された人びとと復興のプロセスを共有しつつ、わたしたちの日常を取り戻していきたいと思います。」

(c)2003-2013 The Group of Recording Noda Northern District. All Rights Reserved.
inserted by FC2 system