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青池憲司コラム眼の記憶10

第8回 震災小片雑記・四(110331)
2011.3.31

【小片10】

今回は「耳の記憶」である。30日、このところずっと阪神大震災の記憶と東日本大震災の現況が脳裏で交錯している。これはいつか見た映像、それはいつか聴いた音と声、あれはいつか直面した出来事・・・心身内での二つの大震災の交錯は、ときに渦流のごとし、ときにナギのごとし、である。あれ、心身外も揺れてる。毎日やってくる余震である。余震というがけっして慣れることはない新たな本震である。その繰り返しが重なると、タフなわたしであっても、いささか心身のバランスをくずす。そんなときは詩を読む。そのひとつが、神戸市長田区在住の安水稔和さんが阪神大震災直後に書いた詩である。阪神大震災の震後を生きるわたしが、この16年間、あまたの災害を目撃するたびに、いや、平生も声にだして読み、聴き継いできた詩である。そして、東日本大震災という災厄!

「これは」

これはいつかあったこと
これはいつかあること
だからよく記憶すること
だから繰り返し記憶すること
このさき
わたしたちが生きのびるために

26日、「東日本大震災被災者応援チャリティOKUBOの集い〜多文化で紡ぐ いのちの環〜」で、ビルマから届けられた一篇の詩を聴いた。作者のピャーポン・ニーロン・ウーさんは、アウンサンスーチーさんたちの運動体<国民民主連盟(NLD)>で活動する詩人だという。

「おまえは津波」

突然、大きく大地が揺れ、おまえは襲ってきた
それはまるでテロリストのように
猛り狂う波は、数え切れない家々を飲み込み、街の灯火を消した
優雅な桜が咲く学校も都会的な街並みも壊し、大勢の人たちの命を奪った
子供を失った親や離れ離れになった夫妻の涙が川のように流れ、辺りに叫び声が響く
地震よ、止まれ。
津波よ、止まれ。
おまえたちのせいで失ったものは計り知れない
地獄のような光景を耳にし、遠く離れたビルマの地から日本で暮らす人たちを想う
私たちはあなたたちと同じ思いでいる
だが、いま日本人たちは手を取り合い
復興を成し遂げようと悲劇に立ち向かっている
どう猛なおまえはあらゆるものを壊したが、人々の絆までは壊せなかった
私たちは信じている
人々の絆を
そして日本の明日を

ビルマの詩人から届いたこの声を、わたしは、「日本列島で生活するすべての民族住民滞在者」へのエールとして聴いた。

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