Homeコラム > 眼の記憶11-2
青池憲司コラム眼の記憶10

第2回 身のまわりのこと断片
2011.2.5

SCENE1 行徳at9:57am

暖かな陽射しの立春の朝、ヴェランダからこんな空を眺めていると朗報がとどきました。数年まえからおつきあいのある在日ビルマ人のTさんに、「在留特別許可(定住者1年間)が取れた」という知らせです。

Tさんは、1987年に来日し、そのご非正規滞在となり、3年まえに摘発され、収容を経て仮放免中でした。昨年4月に2度目の難民申請をしていたのですが、3か月ごとに仮放免の更新があり、そのたびに、収容に備えて衣服や歯ブラシをもって入管へ出頭――そんな不安な暮しがつづいていました。

Tさんに付き添い入管に出向いた、移住労働者と連帯する労働組合のYさんのメールには、「わたしも外国籍の仲間の在特取得の場には数多く立ち合いましたが、さすがにきょうは感無量です」とありました。そして、「早速、区役所へ向い、外国人登録書に『定住者』と記入してもらい、国民健康保険にも加入してきました」とよろこびも書かれていました。

暦どおり、Tさんにも春がやってきたのか。メールは、「しかし、23年以上日本で暮らしているTさんに今日まで在留資格が与えられなかったという事実に、この国の入管行政がいかにおかしいか、を再確認しました」とつづいていました。

日本政府の外国人政策は「出入国管理法」と「外国人登録法」の二つの管理法制が中心です。現在、在日外国人の人口は非正規滞在者もふくめ230万人を超え、定住化も進んでいます。しかし、移住者の基本的な人権を規定した法律は存在しません。わたしの隣人の現実です。

(c)2003-2013 The Group of Recording Noda Northern District. All Rights Reserved.
inserted by FC2 system