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コラム「Circuit 06」青池憲司

第4回 アミネさん一家の2月16日
2007.2.18
▲記者会見をするアミネ・カリルさんとマリアムさん
(TBS-TV『NEWS23』の画面より)

  2月16日は、在留特別許可を求めていたイラン人アミネ・カリルさん一家(群馬県高崎市在住)の仮放免期限の日。この日、アミネさんとおくさんのファロキ・アクラムさん、長女で高校3年のマリアムさんが東京入国管理局へ出頭した。わたしは他用あって入管へでかけることができなかった。出来事は新聞夕刊やTVニュースでかなり大きく報じられていた。支援活動をつづけているAPFS(Asian Peopleユs Friendship Society)からのメールの報告もあった。それらをコラージュしてまとめると、結果は以下のごとくになる。

 アミネさんとおくさん、次女で小学4年のシャザデさんはイランへ帰国する。マリアムさんは在留特別許可(在留資格「留学」2年)が認められた。アミネさんは記者会見で、「非常に複雑な気持ち。家族がバラバラになったことは残念」と話した。同席したマリアムさんは、「進展があったことをうれしく思います」としつつ、「わたしだけの問題ではない。両親や妹が日本への再入国を認められるようがんばりたい」。さらに、進学がきまっている短大卒業後の進路については、「保育士になってずっと日本で暮らしたい。そのために、早い段階で定住ビザをもらいたい」と語った。彼女の「ずっと日本で暮したい」ということばは大切である。

 アミネさんは、それまでの一貫した主張(家族全員の在留特別許可)を撤回し、今月9日、東京入管へ行き、“不法残留を反省”して3人が帰国するかわりに、マリアムさんの在留について配慮を求めていた。国との交渉の結果、現実的にはそうせざるをえなかったとはいえ、約17年を日本社会で地道に働き通学してきたアミネさん家族にとって、これは口惜しい悔しい苦渋の選択であったにちがいない。いま43歳のアミネさんとつれあいのファロキ・アクラムさんがカップルとしての人生をつくりあげてきた地は日本である。幼児のときに来日し日本で小中高の教育を受けたマリアムさん、日本で生まれたシャザデさんにとってはこれまでの人生はすべて日本での歳月である。アミネさん夫婦と次女は、仮放免期限を4月27日まで延長され、マリアムさんの高校卒業式や短大入学式に家族で出席してから帰国する。今回の処置について長勢甚遠法務大臣は、「長女の勉学意欲を尊重し、家族についても入学式に出席したいという心情を配慮した」としている。国は、温情あふるる排外主義で家族を引き裂いた。

【上毛新聞記事からの部分引用】
 「マリアムさんに在留特別許可が出たことについて、マリアムさんらの身元引受人を務める中村三省さん(74)=伊勢崎市=は『長かった、というのが正直な感想。ボランティアで支援を続けた団体や弁護団の長年の努力に感謝したい。また、入管サイドと政府の配慮もうれしく思う』と喜んだ。しかし、『イランに帰る三人、特に小学生の二女はこれからが大変。うまく乗り切ってくれるだろうか』と不安も口にした」。 

【APFSの報告からの部分引用】
 「(昨年10月の)最高裁棄却決定後、長勢法相が『一家には帰国していただく』と明言していたこともあり、最悪は一家全員で帰国かとも思われましたが、世論にも支えられマリアムの在特が何とか認められました。とはいえ、家族がバラバラにされてしまうこと、そして日本で生れ、日本の文化しか知らない10歳の次女の将来を思うと無念でなりません。日本の入管行政の愚劣さには心底怒りを覚えます。アミネさん一家のようなケースは後をたちません」。

 後をたたないアミネさん一家のようなケース――日本での生活権を剥奪され、日本での家族の結合権を奪われ、日本でのこどもの学習権をないがしろにされ、日本より生活基盤のうすい母国へ強制送還されてしまうケースは頻繁に起きている。それは。わたしたちの目に触れないところで処理されてしまうことが多く、マスコミに取り上げられることも稀である。ある日とつぜん、学校から地域からこどもが消えてしまう。まわりの人たちが気づいたときは親もこどもも強制送還されていた、という神隠しのような出来事が発生している。2004年現在、非正規滞在外国人の数は約22万人。未成年者が占めている割合は数字が発表されていないので不明だが、専門家の推計では数千人から1万人前後になる。そのうち、毎年、数百人のこどもたちが強制送還されているという。アミネ家の次女シャザデもそのひとりである。

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