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コラム「Circuit 07」青池憲司

第13回 A Long March
2007.5.1
きんもくせい

 (阪神大震災の被災地KOBEで、震災直後から活動をつづけている専門家集団「阪神大震災復興 市民まちづくり支援ネットワーク」機関紙『きんもくせい』が第3期の活動を終えて休刊する。以下は、そのことに触れて書いた手紙である)。

 小林郁雄編集長、(編集)担当の天川佳美さん、中井豊さん、吉川健一郎さん、月刊『きんもくせい』3期通巻134号のProjectを全うされたことをおよろこび申し上げます。
 命に終りがあるようにProjectにも終りがあることはうれしいことです。とはいえ、終りははじまりですから、Projectも命とおなじように連環していきます。連環は螺旋状に延びていって閉ざされることはついにありません。
 阪神大震災があって、そして、わたしがはじめて被災地KOBEのみなさんにお会いしてから12年の歳月がすぎました。さまざまな事柄が走馬燈のごとくに現前します。

 遠くまで行くんだ――、とわたしたちは出発したように思います。わたしたちとは、被災地KOBEの住民さんであり、専門家のみなさんであり、勝手に被災地に入り込んだ青池組(野田北部を記録する会)のような輩をもふくんだ、わたしたちです。わたしたちは、あの日、まだ見ぬまち、をめざして旅立ちました(噫!浪漫)。「阪神大震災復興 市民まちづくり支援ネットワーク」はその先達であり、先達すなわち工作者であり、機関紙『きんもくせい』は、まだ見ぬまち建設の作業工程書でした。「いま」的で「現場」感あふれるこのJournalを、わたしは愛読していました。とくに、足掛け5年の撮影を終えて、被災地KOBEをとりあえず離れてからは、先達たちの工作内容を知る手懸りのひとつでした。
 
 おもえば遠くへきたもんだ――、第3期終刊の知らせをきいて、そんな感慨がわたしのなかになくもありませんが、まあ、これは旅人の感傷というものでしょう。感傷は妥協です、これはいけません。余談ですが、震災後の復興まちづくりを市民の視点でつたえつづけてきたMBS(毎日放送)ラジオの番組『ネットワーク1・17』がこの4月にリニューアルされましたし、カトリックたかとり教会(および、TCC=たかとりコミュニティセンター)の新しい建物(これは被災地KOBEの新名所になるでしょうか)が完成して、献堂式(および、新規オープンのセレモニー)が5月末に行なわれます。いまは、ひとつの転換期――終焉と再出発の季節かもしれませんね。
 
 命の連環のように終りのないまちづくりの作業工程書として、機関紙『きんもくせい』がその有効性をいささかも失っていないことは、あらためていうまでもありません。
 小林さん、天川さん、中井さん、吉川さん、みなさんと次のステージでお会いする日をたのしみにしています。では、それまで、さよなら3期(三角)またきて四角。

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