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コラム「Circuit 06」青池憲司

第25回 そばめし
2006.9.19
河内音頭の稽古が祭本番までつづく。
▲河内音頭の稽古が祭本番までつづく。 Photo:青池憲司

 新宿戸山公園に本場神戸の「そばめし」がやってくる。そばめしは、さいきんは関東にも出回っているが、もともとは神戸の長田区が発祥の地である。なぜ、本場のそばめしが新宿へ? 大久保と百人町そして戸山公園で行なわれる第3回「OKUBOアジアの祭」への友情を込めた“出張実演販売”である。まずは、「祭」のご案内から。

第3回「OKUBOアジアの祭」開催のご案内

 新宿区大久保・百人町・戸山地域は、多文化のまちとして発展しています。日本人とアジアや諸外国の人びとが、同じ地域住民として生活し、仕事をするこのまちで、2004年10月に、第1回「OKUBOアジアの祭」が開かれました。戸山公園すずかけの広場と大久保通りの2か所を会場として行われた祭は、日本の河内音頭、韓国のサムルノリ、ミャンマーの水掛け祭の踊りなど、それぞれお国自慢の芸能で約1500人の老若男女(外国人をふくむ)が交流し、人と人の環をつくりました。

 第3回のことしは、よりいっそう地域に根づいた祭として、「OKUBOアジアの祭実行委員会」と「新宿おおくぼまちづくりの会」の共同主催で開催します。いま、わたしたちのまちに求められている、「外国人との交流・共住・共生」を推進するためにも、人と人が出会い絆を結び合う新しい集いの場を実現したいと念願します。

OKUBOアジアの祭実行委員会
新宿おおくぼまちづくりの会

  • 開催日時=10月9日(体育の日) 午後1時30分〜午後7時
  • 開催場所=
    大久保通り 午後1時30分〜午後2時30分
     *小滝橋通り→大久保駅→新大久保駅→明治通りまでの河内音頭パレード
    戸山公園箱根山地区すずかけの広場 午後3時〜午後7時
     *アジアの芸能と河内音頭
  • 演し物=
    • 韓国・サムルノリ
    • フィリピン・バンブーダンス
    • インドネシア・バリ舞踊
    • インド舞踊
    • 河内音頭(月乃家会)

  • 後援=東京都 新宿区 新宿区社会福祉協議会 新宿区教育委員会
  • お問い合わせ=OKUBOアジアの祭事務局
    〒169-0072 東京都新宿区大久保2-10-2-1F あらばき恊働印刷内
    TEL 03-3205-7871 FAX 03-3205-7889
    Eメール:youda@abox22.so-net.ne.jp

 というもので、アジアの食の屋台も出る。バングラデシュのカレー、韓国のチヂミ、神戸長田のそばめし、などなど。先述したが、そばめしは神戸の長田区が発祥の地である。受け売りでエピソードをかく。むかし、長田のあるお好み焼き屋の昼飯どきのこと。焼きそばを食べにきた若い工員が、持参の弁当の冷や飯を取り出し、「おばちゃん、これ、そばといっしょに炒めてくれへん」とたのみ、そんなんもありかな、とおばちゃんが受けて、めし・そば・すじこん(牛すじ肉とこんにゃくを煮込んだもの)を案配して炒めあげたのが、「そばめし」の始まりだという。いかにも労働者のまち長田らしい話である。

 このそばめしが長田ローカルから関西圏へ、そして全国レーベルとなっていったのは、阪神大震災がきっかけだった。テレビの復興報道の映像として、長田ではよく商店街のお好み焼き屋さんが取り上げられ、そこで焼かれていたのがつねにといっていいほどそばめしだった。テレビジョンマンにとって、そばめしは長田らしい画になる素材だったのだ。それを見た視聴者が興味をもって・・・・という説がある。また、復興途上のまちのお好み焼き屋さんでそばめしを食べたボランティアが、自分の地元で話題にし、それがすこしずつ広まった・・・・という説がある。テレビ―マスコミとボランティア―クチコミ。両者をミックスして商魂という味つけをしたものが巷間出回っているそばめしである。

 はっきりいって、それらの多くは長田のそばめしとは似て非なるものであるといってよい。4年ほどまえのこと、大久保の一角にある居酒屋チェーンで商店街の人たちと呑んだとき、かれらが注文したそばめしの皿に一箸つけて、わたしはおもわず叫んでしまった。これはそばめしではありません、こんなものを食べてはいけません。注文した人たちから当然反論があり、オマエのいうそばめしはじゃあどんなものだ、いっぺん食わしてみろ、と大声がとびかって、売りことばに買いことば、こんどの商店街の祭に神戸から本場のそばめしを呼んでくる、と宣言してしまった。してしまったものの、さてどうするか。共住懇の関根美子さんと相談して、阪神大震災の復興活動のなかでご縁ができた長田は御蔵地区の住民さんにHELP信号を打った。

 御蔵の人たちは、東京への“出張”を快諾してくれた。震災まえにお好み焼き屋をしていた方を中心に「そばめし隊」がつくられ、その年の商店街の祭に総勢十数人の部隊が夜を徹して名神、東名を走り、駆けつけてくださった。しかも、特性のすじこんを煮込み、食材、調味料だけでなく、鉄板、ガスコンロなどの器具も車に積み込んでやってきてくれたのだ。そばめしの味はすじこんできまる。御蔵のそばめしは商店街の祭に出店した屋台のなかでトップの売り上げであった。そのそばめし隊がことしはOKUBOアジアの祭にきてくれる。演し物の魅力も然ることながら、バングラデシュのカレーや韓国のチヂミなど、アジアの食の競演もたのしみである。10月9日は眼福口悦の一日となるだろう。

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